私は高校時代の親友と未知の世界を体験してからというもの、仕事も手につかずに風俗の事ばかりを考えるようになっていた。

その当時はそれでもお給料を貰え、そして売上成績も上がっていた。

その点だけを見ればバブルというものは人の心を堕落させたのかもしれない。

私の生活はというと、欲望のままに週末には必ず風俗に行き、好みの女の子を指名する生活となっていた。

特定の女性と交際することもなく、ただ毎日を過ごしていた。

そんな生活が四~五年続いたころだろうか。

私は既に風俗マスターとなっていた。

新宿、池袋など東京中の歓楽街などの多くが馴染みの店となっていた。

就職した不動産会社でもそれなりの役職となり、給料も入社当時に比べて数倍となっていた。

そんな私の相変わらずの生活に変化が訪れたのは突然のことだった。

相当数の風俗店に通った私は、どれもこれも同じシステム、形式ばった接客に嫌気が差し、初めて出張系風俗を利用することにした。

当時は今に比べてアングラな業種だったため、素人女性が多く在籍すると言われていた。

電話の受付の指示に従い、ホテルで待つこと数分。

それ程長い間待たされた訳ではないのだが、初めて体験するシステムに久々に緊張し、ワクワクし、すごく長い時間待たされたような気がした。

そして私がようやくその緊張になれた頃、部屋の扉をノックする音が聞こえた。

私は年甲斐もなく、恐る恐るドアを開けた。

するとそこに立っていたのは20代中頃のおとなしいタイプの女性だった。

あの風俗嬢独特のスレた感じはなく、とても清楚な感じのその女性は、何故か私よりも緊張しているように見えた。

私は丁寧に彼女を部屋に招き入れた。

そしてベッドに座り、ぎこちない会話がスタートした。

(何なのだろう?この新鮮な感覚は)

始めてのデリヘルというこもあるのだろうが、ホテルという二人だけの空間、そして何よりも私は彼女の独特の雰囲気に魅了されていた。

彼女との会話が進むにつれ、実は彼女が完全な素人であること、何か訳ありでこの仕事を始めたことなどを知った。

しかし彼女は、その訳については一言も話してはくれなかった。

その頃の私はまだ若かったのだろう。

現在ならあり得ないことなのだが、そこまで感情移入した彼女と私はプレイに及んだ。

しかし、その若気の感情こそが、いよいよ私を本格的に彼女にのめり込ませることとなる。

その、恍惚な表情、憂いの瞳。

私は久しぶりに体内の血液が沸騰し、逆流するような感覚を覚えた。

(彼女を知りたい)

私は純粋にそう思った。

そして彼女の力になりたいと思った。

それからというもの、私は中学生のようにただ彼女に会いたい一心で、週末に限らず彼女のお店に通った。

上手に営業が出来るタイプではない彼女が嫌な顔をせずに、週に何度も来店する私に尽くしてくれた。

そんな健気な所も私を正気ではいられなくしていたのかもしれない。

いよいよ彼女への感情が【恋愛】だと気付いた私は、禁断の手段にでた。

仕事終わりの彼女を誘ったのだ。

すると彼女は、予想していたよりもあっさりと了承してくれた。

ホテルではなく、外で会う彼女は仕事の時よりも明るく、何かから解放されたかのような印象を受けた。

彼女のお店のあるJR大塚駅から少し離れて池袋のレストランで食事をした。

例によって、そのままホテルへ行き彼女と初めて夜を明かした。

それから私たちは交際をスタートさせた。

いや、今思えば私だけがその気になっていたのかもしれない…。

そう、今思えば…。