どれくらい歩いたのだろう。

緊張からか時間の間隔もなくなった私たちの目の前は、淡いネオンの甲板に囲まれていた。

彼女の右手が一層強く私の手を握るのと同時に、私たちは一件のラブホテルへと入っていた。

初めて入るラブホテルの薄暗い受付には【空室】を知らせる部屋の看板がまだらに光っている。

その中から私は二番目に安い部屋のボタンを押し、彼女の右手を引くようにエレベーターへと乗った。

三〇二号室。

部屋の前で生唾を飲み込んだあとに、彼女に気付かれていないか恥ずかしくなった。

「女をリラックスさせてやれ」

作家が言った言葉だ。

(無理です)

心の中で叫びながらも、私は彼女に話し掛ける。

一言、二言で終わる二人の会話はあまりにも間が持たず、逆に気まずい空気だけが部屋中を覆っていった。

私はゆっくりと彼女の唇に自らの唇を近付け、そっとくちづけをした。

私は作家に教えてもらった通りに、舌を強く押し出す。

そのまま彼女をベッドの上に横にし、覆いかぶさるように私も横になった。

私は互いの唇を離すことなく彼女の服の中に左手を忍び込ませた。

彼女の肌は温かく、そして柔らかかった。

ゆっくりと左手を上部に伸ばすと、そこには緩やかな膨らみがあり、それに触れた私の心臓は一気に振動を速めた。

作家に教えられた通りに、私は優しく指の腹の部分で彼女の突起部分に触れてみた。

すると彼女は声にならない声を漏らす。

私は今にも壊れてしまいそうな彼女を力いっぱいに抱きしめたあと、夢中で彼女の乳房を触っていた。

私が触れば触る程に、彼女の[三つのほくろに囲まれた乳首]は堅くなり、徐々に彼女の吐息は激しさを増していった。

私はいよいよ彼女の下半身を触ろうと、柔らかい彼女の上に手を這わす。

チェックのスカートの裾から覗く、白く細長い彼女の脚に触れた後、そのまま私の手は彼女の秘部を捕らえた。

下着の上からとはいえ、初めて触れた女性は、想像以上に温かく、そしてほのかに濡れていた。

私は下着の中に手を入れ、右手中指で彼女自身を確かめるように優しく指を押し当てた。

下着の上から感じた時よりも一層濡れた彼女の秘部を、無我夢中で触る。

触れば触る程に、彼女の声は荒々しさを増していったが、我を忘れた私に対して彼女は「もっと優しく…」、そう呟いた。

ハッと我に返った私は、彼女の顔を覗き込む。

彼女は言葉では表現しづらい表情で私を見つめている。

私はこの表情が男を求める女性の顔だと本能的に感じた。

そして彼女は優しく微笑み、強く頷いた。

ホテルを出た私たちは、つい三時間前とは違い男女のカップルになっていた。

気まずさはなくなり、適度の照れくささと、明るい笑顔で溢れていた。

(この女性を一生大切にしよう)

私は心にそう誓った。

最愛の彼女を自宅まで送り届け、私はすっかり暗くなった道を作家の家の方角へと歩いていた。

つい数時間前の出来事と、その時の興奮を誰よりも早く作家に伝えたかったのだ。